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キミ犯人じゃないよね?

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このドラマの素晴らしいところは鑑識官・柴田太郎にある。柴田はTBSの「ケータイ刑事・銭形シリーズ」の主要キャラクターであるにも関わらずテレビ朝日のドラマに出演している。この素晴らしき遊び心だけで見る価値があるのだ。マンガの世界では違うマンガのキャラクターを同じマンガの世界に登場させることが古くからあった。有名なのはドラゴンボールにDr.スランプのアラレちゃんを登場させたことが挙げられる。そのような遊び心がついにテレビドラマの世界に登場したのである。これは保守的なテレビ業界ではかなり画期的なことである。だからこそ「キミハン」が面白くない訳がないのだ。

以前から魅力的なドラマのキャラクターがたったワンクールで殺されていくことに不満を覚えていた。例えばトリックの矢部なんかは「ヅラ刑事・矢部謙三」ってな具合に簡単にドラマが作れると思う。もちろんスピンオフとして使われるのが一番良いのだけれど、「キミハン」の柴田のように脇役だけど主役にはもってこれないキャラクターを色々なドラマで二次利用するというのは斬新なアイデアだと思う。こんなことは誰もが考えていたアイデアなんだろうけれど、現実的にはテレビの世界ではほぼ不可能であった。その不可能なことを実現させた「キミハン」はやっぱりすごいドラマなんである。

そこから俳優によるキャラクタービジネスの可能性を考えてみる。気に入ったキャラクターの権利を俳優自らが買い取って、様々なドラマに売り込むのだ。もちろんこれは俳優が簡単にできることではないので、キャラクターの権利を有する作者が自分のキャラクターを切り売りしていくことが一番可能性が高い。「キミ犯」における柴田というキャラクターは推測だが「ケータイ刑事シリーズ」と製作会社が一緒だからこそ実現したのだろう。このような直接的な関係がなくても、魅力あるキャラクターを売買できるニッチなビジネスモデルもあり得るのではないだろうか。

※ちなみに堤幸彦は「ケイゾク」のサバ男を「トリック」に登場させている。